さて、1974年の<461 Ocean Boulevard>からここまで、オリジナルアルバムから1曲ずつピックアップしながら見てきたが、いよいよ今日でひとつの区切り。ほぼ70年代を通して実践されてきたいわゆるレイド・バック志向もこのアルバムで頂点を迎えることになる。
でも自分としてはレイド・バックとかサザンロックとか括っちゃうのは好きではない。かつてジミー・ペイジが「俺たちをヘビー・メタルというヤツはぶっ殺す」といったり、佐野元春さんがNY録音アルバム『Visitors』をラップとカテゴライズしたマスコミにひどく失望したといったりしたことを思い出す。
前段が長くなったが、『Walk Out In The Rain』は歌ものの中では70年代のベスト3に入れたい曲。全体的にスローで重めのサウンドながらも、意外にキャッチーなメロディのサビ展開(英語がわからなくても何となくシーンが浮かんできそうな歌詞も含め)や、後半折り重なってフレーズが追えなくなる中間ギターソロなど、“飽き”の魔物に捕まることなく今日までスキップボタンを押されずに生き延びてきた名曲だ。
ちなみに曲はボブディランだが、JJケイルとのお付き合いともども、<Backless>でいったん終了。

■収録アルバム:< Backless ( バックレス )>