最初に聴いたのは、ジミヘンじゃなくて、デレクのスタジオ盤の方だった。その頃自分はまだ高校生で、残念ながらブルースはみんな同じに聞こえてしまう未熟モノだったので、マイナースケールのギターソロがしがしのリトル・ウィングは待ってました!という感じだった。2曲後には『レイラ』も控えてるし。ソロをとってるのはデュアン・オールマンだったんだけどね。
何年か後になって、ジミヘンの<In The West (輸入盤)>というライブに入っているバージョンを聴いてその格好良さにぶっ飛び完コピに走った(完コピ=バンド用語でオリジナルを完全にコピーして弾くこと)。とはいえ、自分の中ではジミヘンはどちらかというとジェフ・ベックと同じカテゴリーで、ギターの素晴らしさに脱帽はするものの、残念ながら日常生活の中でくり返し聴き続けるには至らなかった。
さらに10年の月日が流れ、デレクのライブ・バージョンが発掘され<Live At The Fillmore>として登場した。これが思いの外よかった。この曲は大勢でやるより最小ユニットが似合う。エンディングのソロの2コーラス目で、1ヶ月前に亡くなったジミヘンのフレーズをそのまま弾く場面は、涙さえ誘う。
なおクラプトンが完全に自分のレパートリーとして消化したオリジナリティあふれる演奏は、<461 Ocean Boulevard [Deluxe Edition]>、または<Crossroads 2>で聴くことができる。

■収録アルバム:< Live At The Fillmore ( ライブ・アット・ザ・フィルモア )>