スーパーグループの解散というのは、概ねファンやレコード会社が納得できない形で予期せず起こってしまう。レコード会社については、金銭的悩みがほとんどだろうが、ファンの場合は深刻だ。お金で解決できない欠落を心に抱え込んだまま、レコード屋の洋楽コーナーを空しく彷徨う日々が当分続くことになる。そうしたファンに必要なのは、もうグループがこの世に存在しないことをきっぱりと宣言してくれる企画盤の発売だ。
ドラムのジョン・ボーナムが事故死して解散したゼップは、2年後に<コーダ>を出して、一応の幕引きとした(まだ終わってないという人も多いが)。ビートルズはずいぶん長い間モヤモヤしていたが、<アンソロジー>シリーズの発売をもって、ファンもようやく納得したのではあるまいか。そしてデレクのファンは、<Crossroads>に収録された幻のセカンド・アルバム用レコーディング5曲をもって、心にひとつの区切りをつけることができたというわけだ。
その5曲のラストを飾る『スネイク・レイク・ブルース』はまさにグループのシメにふさわしい。全編に渡るギターアドリブは、ファンの欲求不満を解消するものだし、マイナースケールを多用しての泣きも日本人にはありがたい。フレーズはよろよろで、ゼップ後期のジミー・ペイジみたいに哀愁漂ってるが、それもまた良し、だろう。これら「シメ」シリーズが味わわせてくれるのは、もう昔には戻れない、という切なくも魅惑的な人生の真実なのだから。

■収録アルバム:< Crossroads ( アンソロジー )>