今日はクリーム時代によく演奏されたギター・インストゥルメンタル『Steppin' Out』の3つのテイクについて整理してみたい。
この曲をクラプトンが最初に録音したのはブルース・ブレーカーズ時代のアルバム<Bluesbreakers With Eric Clapton>で、原曲はJames Brackenという人だが、この人についてはブルーズマンさんあたりのほうが詳しいと思う(と勝手に決めました)。
クリーム時代の1発目は<BBC Sessions>の5曲目に収録されている1966年11月のテイク。ブルース・ブレーカーズの録音からわずか半年後だけあって、まだトレブルの効いた鋭角的ギターサウンドやトラディッショナルなフレーズなどジョン・メイオールの影響が色濃く残る演奏となっている。
2番目の演奏は同じ<BBC Sessions>のラストに収録されている1968年1月のテイクだが、このギターが凄い。トレードマークのウーマン・トーンでの淀みなく流れるようなフレーズはひとつとして安易にコピーできるものがなく、一息つきたいロングトーンにさえ鬼のようなビブラートがかかっている。しかもドラムのブレイク以降の後半に至ってはご存じブルース、ベイカーとの三つ巴のバトルで一気にラストへとなだれ込む。ハッキリ言ってベストのテイクだろう。
その2ヶ月後にお馴染み<Live Cream Vol.2>の長尺テイク収録となるのだが、やはり長すぎて「クラプトンがこんなに弾いてる!」という程度の印象に終わっちゃうのが正直なところ。
ちなみにボックス<Crossroads>に収録されているのは<BBC Sessions>の2番目と同じテイク、<Those Were The Days>の方は<Live Cream Vol.2>と同じテイクだ。
クラプトンはこのようにスタジオ盤未収録の“ライヴの定番”が好きらしく、70年代に入るとクリーム時代の『Steppin' Out』や『Crossroads』に代わり、『Further On Up The Road』をイヤになるほど聴くことができる。


■収録アルバム< BBC Sessions ( BBCライヴ ) >< Live Cream Vol.2 ( ライヴ・クリームVol.2 ) >