このあたりでクリーム編と一度お別れして、1980年代のソロ活動へとワープしてみたいと思う。実のところ80年代のクラプトンは、自分が最もリアルタイムでアルバムを聴き、ステージを観にいった時代なのだ。
バックレスから1年半ほど間をおいてライヴアルバム<Just One Night>が発売されたわけだが、この年は思い出しても悲しくなる年だ。9月にジョン・ボーナムが亡くなり、当時Led Zeppelinのニューアルバムの発売だけが心の支えだった自分としては、かなりの衝撃を受けた。いまでもロックを聴いたりするのも、その後遺症かと思ったりもする。
さらに、12月にはジョン・レノンが亡くなる。ヨーコ・オノとのコラボレーション・アルバム<Double Fantasy>をすまして聴き通せるほど成熟してもいなかったが、ひとつの時代が終わったことを感じずにはいられなかった。
そんな激動の中で、この<Just One Night>のストラトの枯れた味わいは、ホッとすると同時に自分が今後進むべき道しるべともなったものだ。
さて、『Setting Me Up』は<Just One Night>にしか収録されてない曲で、『悲しきサルタン』で知られるダイアー・ストレイツのギタリスト、マーク・ノップラーの手によるものだ。アルバート・リーがボーカルをとっているのでクラプトン・ファンには見逃されがちなトラックだが、二人で楽しくギターを弾いていて、特に息のあったエンディングは、いつ聴いても気持ちがいい。

■収録アルバム< Just One Night ( ジャスト・ワン・ナイト ) >