この『Pretending』や収録アルバム<Journeyman>を聴くと何やら心に秋風が吹くのは、ジャケ裏の写真のせいだけではないだろう。
ポピュラーミュージックのメインストリームに躍り出た感のある前作のあと、実にまるまる3年ぶりのオリジナル盤であるうえに、豪華で多彩なゲスト群、再びジョージ・ハリスンとのコラボなど、何か一つの到達点、というイメージが漂っている。
反面、ギターの充実ぶりは聴いていてウレシイかぎりだ。たしかこのアルバムからレースセンサー・ミッドブーストのピックアップを搭載したストラトに持ち替えていて、ハムバッキング系のギターと渡り合えそうな太く存在感のある音を聴かせてくれる。
短いピアノのイントロのあといきなりサスティーンの効いたロングトーンのギターフレーズから始まる『Pretending』は、この新しいギターサウンドを代表する曲だろう。
<461 Ocean Boulevard>での復活以降、実に15年におよび何かギターを弾くという行為に対して引け目を感じていたかのようなクラプトンが、ついに開き直って再び本気でギターを弾き始めた感じがして、とっても元気が出てくる。
そしてこの後の10年は、活動のスタンスがこれまでとは明らかに変化していくのである。

■収録アルバム< Journeyman ( ジャーニー・マン ) >