このアルバムの曲がクラプトンのオリジナルになるかどうかは意見の分かれるところだが、レコード会社が一生懸命クラプトンのオリジナルにしたがっているようなので(ボックス<Crossroads>のディスコグラフィにちゃっかり載ってるし)、それに従っておこう。
よっぽど注意ぶかく聴いてないと、ほどんど目立たないこのアルバムでのクラプトンだが、唯一長めにソロをとっているのが、この2曲目のメドレー『Poor Elijah - Tribute To Johnson』だ。
まあ、クラプトンの方が真似したかったのだろうが、メインにギターを弾いているデイヴ・メイスン(この曲ではソロは演ってない)とサウンドが似ていて、いい加減に聞き流しているとつい間違えてしまいそうだ。間違えたままの人も結構いるんだろうね。
ところがしっかり意識して聴いてみると二人のギターは違う。
映像を見ていないので、本当のところはわからないが、デイヴの方は、曲と一体化したノリの中で無意識的に弾いているのに対して、クラプトンの方は、常に次の小節で弾くべきフレーズを模索しながら、何か新しいものを生み出さなければ、と自分を追い込んでいるような生真面目さを感じる。
もちろん、デイヴ・メイスンがテキトーとか上手いとかいうことではなく、スタイルの違いということなのだが。
ともすると理詰めな息苦しさを感じるクリームに嫌気がさしたクラプトンが、ただ陽気に音楽を楽しんでいるように見える南部系にあこがれたのも、スタイルの違いと優劣を混同してしまう「若さ」があったから、ともいえるだろうか。
※執筆時点ではクラプトンとメイスンを聞き違えていた曲がありました。(2008.02.20追記)

■収録アルバム< Delaney & Bonnie & Friends On Tour with Eric Clapton (オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン )>