「じゃあ今度はキミがソロをやりなよ!」みたいなノリで楽しくテキトーにセッションできるのはロックという音楽ジャンルの極めて優れた特長だが、そんな昔懐かしいロックの良さが感じられるアルバムが1973年発売の<Rainbow Concert>だ。
もちろん、このライヴはクラプトンを薬物中毒からなんとか立ち直らせようとザ・フーのピート・タウンゼントがプロデュースした記念すべきコンサートで、ちゃんと練習もしただろうし、そんなにお気楽ではないのだろう。
しかしながら左からロン・ウッド、クラプトン、ピートと3人の人気ギタリストが並んで交互にソロをとる様子は、まさに冒頭で述べたロックの楽しさを体現したもののように思える。
『Roll It Over』はもともとはお蔵入りした2倍速『Tell The Truth』のC/Wで、どちらかといえばマイナーな曲だが、デレクのライヴ盤にも収録されているなど、なぜか音源は豊富だ。
そんな中でこのバージョンの聴き所は、クラプトンの速弾きだろう。ソロが盛り上がってからの流れるような速弾きフレーズは手グセとはいえ素晴らしく、1974年録音の<E.C. Was Here>の『Have You Ever Loved A Woman』に匹敵している。
感覚的にはクリーム時代より速く、この後はレイドバックしていくことを考えると、スピード的なピークはこの73〜75年あたりなのではないだろうか。

■収録アルバム< Rainbow Concert ( レインボウ・コンサート )>