エレクトリック・ギターには、例えば音をわざと歪ませるなど電気的効果を付加するエフェクターという道具があって、それによってロックっぽくなったりコンテンポラリーなサウンドになったりする。
ついでに音を延ばしたり、粒をそろえたりしてくれたりもするので、実はちょっと下手でもエフェクターを使うと結構サマになったりするのだ。
だから、<Unplugged>のように、基本テクニックのありなしが如実に表れるストレートなアコースティック・ギターで勝負されると完敗だ。なんだかんだいって、クラプトンってやっぱギターすごく上手いんじゃん・・・みたいな。
それにしてもこの『Layla』にはぶっ飛ぶ。なにしろトレードマークの♪チャリラリラリラーのフレーズがない。そして皆さんの大好きなピアノ・エンディングもない。なのにこのアルバムのなかでの存在感はピカイチだし、フェイクしたメロディには懐かしいデ・ジャ・ヴ感がある。
聴いたあと、知らず知らずのうちに口ずさんでしまう強力な右脳へのくさびは、天才的にマーケティングされた新興宗教のテーマ曲さながらのパワーだ。
『Wonderful Tonight』のイントロを人々が飽きはじめたころ、劇的に意匠チェンジして<24 Nights>でお披露目したように、常に観客を気づかいながらも自分が納得できない演奏はしたくない、というジレンマを凡人離れしたセンスで解決してしまうあたりも、この人ならではの傑出したバランス感覚なのだろう。

■収録アルバム< Unplugged ( アンプラグド )>