98年発表の<Pilgrim>に収録された久々のボブ・ディラン作品。久々ってどれくらいかと考えてみたら、なんと78年の<Backless>以来だから実に20年ぶりだ。
20年前に既にバックレスが出ていたというのも驚きだが、20年の歳月が流れてもいまだ「今回はディランで行こうか!」などとやってるクラプトン業界も平和でうらやましい。
ポール・ウェラーの打ち込みドラムが薄っぺらいなど不満はあるものの、70年代を思わせる実にディランらしい作品で聴いてて楽しくなってくる。<No Reason To Cry>とか聴きたくなるよね。
ところで、かつてアルバムの収録時間が46分前後だったのはアナログ盤の普及技術から生まれたパラダイムだから、という理由でか、CD移行後の一時期は無理やり頑張って70分目一杯に曲もてんこ盛り、というアルバムが多かった。
初のCDフル・アルバム(オリジナル・スタジオ盤で)である<Pilgrim>も大サービスの14曲(日本は15曲)入りだが、曲数が多すぎて通して聴くのがちとキツい。いいアルバムなんだけど中だるみしてしまうのだ。
アナログ盤をB面にひっくり返すときみたいなブレイクが欲しくなる。そんななかでディランのこの曲がでてくるとパッと雰囲気が変わってホッとする。
日本ではテレビもひと番組50分くらいだし、アルバムとしっかり付き合うにはアナログ時代の収録時間がちょうどいいんじゃないかなあ、と思う。ライヴの場合は基本的に知ってる曲なので、長くても苦痛じゃないんだが。
そういう意味でも10曲くらいに絞って再構成すれば相当いいアルバムになると思うが、ほぼ10年ぶりのオリジナル・リーダー・アルバムということで、まあ良しとしようか。(って偉そうにいえる立場か・・)

■収録アルバム< Pilgrim ( ピルグリム )>