ヤードバーズのファースト・シングル。つまりクラプトンの記念すべきメジャー・デビューの一発目。
クラプトン時代のヤードバーズというと『Good Morning Little Schoolgirl』なんかの印象が強いため、オールディーズのカバーバンド、しかもビートルズのマネ、みたいなイメージが強いが、よく聴くと実はそうではない。
この『I Wish You Would』もギター・ソロがないために見過ごされがちだが、そのサウンドはすでにジミー・ペイジ時代の『I'm Confused』、つまりゼップの『幻惑されて』の息づかいさえ感じられる。
この時期のビートルズは『A HARD DAY'S NIGHT』が出た頃で、レノン・マッカートニーのオリジナル路線への移行は完了していたものの、楽器の使い方はあくまでヴォーカルの伴奏や間奏といった範疇をでていないように思う。
それに対して『I Wish You Would』では、中間のインストゥルメンタル部分の盛り上がりにおいて、ギターはもちろん、ベースやドラムもヴォーカルと同じようにロック・ミュージックの表現主体になれるんだという可能性が提示されている。
つまり、そこにはクリームの原型も読み取ることができるわけで、そうした進化を指向していたクラプトンがボーカル主体の『For Your Love』にイヤ気がさして脱退したのもわかる気がする。
とはいえ収録アルバム<For Your Love>の2曲目『I'm Not Talking』では、ベックが早々と“見せ物”としてのギター・スタイルを確立しているのに驚く。「ベックはどうも・・・」とか言いながらも、ついつい聴き入ってしまうのだ。
※来週は休暇中につき更新不定期となります。

■収録アルバム< For Your Love ( フォー・ユア・ラブ )>