やたら速くて安定したカントリー・ギターを弾くヴィンス・ギルの曲。一昔前のクラプトンだったら、「僕はあんなふうにはギターが弾けない・・・」とうじうじして家にこもってしまったのではないだろうか。
とはいってもこの『One Day』はいわゆるカントリーではなく、ヴィンスのカントリー・ギターも聴けないのだが、リズムの大きな波にたゆたうようなボーカル・ラインはなまじのミュージシャンには書けないような玄人っぽさを感じる。
2度ほど大フィーチャーされるクラプトンのソロも、その大波に気持ちよく揺られているようで、聴いているとストレスが抜けていくような快感がある。ギターの聴き所としては質量ともにアルバム中随一であろう。
それにしてもたぶんノイズレス・ピックアップのストラトに変えてからだと思うが、ギターの音色がより一層甘く官能的に進化しているのに驚く。
昔は相当にエクスタシーを感じた<24 Nights>あたりのレースセンサーの音でさえ、少し物足りなく感じるから不思議だ。
今後、指の動きで後続に負けることはあっても、年齢がハンディとならないサウンドの妙味というポイントでは、これからもトップを走り続けることだろう。

■収録アルバム< Back Home ( バック・ホーム )>