<There's One In Every Crowd>は好きな人は大好き、そうでないひとは記憶から消えている、といった地味なアルバムだが、実は後半(かつてのB面)は良い曲が目白押しだ。
人気の高い『Better Make It Through Today』からはじまる4曲はすべてクラプトンの単独クレジットによるメロウなナンバー。
特に、まるで同じモチーフをグラデーションをつけて反復しながらアルバム・エンディングの『蛍の光』のメロディへと収斂していくかのような、似たもの同士のラスト3曲は、いわば“クラプトン組曲”とでもいいたくなるほどの完成度だ。
そのクラプトン組曲の幕開けとなる『Pretty Blue Eyes』は、アコースティックなボーカル部分とエレクトリカルでスローなリフレインの2部構成となっていて、そのコントラストが秀逸だ。クラプトンのウォームなトーンのアコギもいい感じ。
ところでこの『Pretty Blue Eyes』のリフレイン部分だが、<Money And Cigarettes>の『Pretty Girl』そっくりな気がしてきた。まあどちらも本人の単独クレジットなのでいいんだけど、タイトルに“Pretty”がついてるのも同じだし、レインボーの『キャント・ハプン・ヒア』って『銀嶺の覇者』と同じじゃん、みたいな煮詰まりを感じてしまって、すみません。

■収録アルバム:< There's One In Every Crowd ( 安息の地を求めて )>