ロック・ミュージックとドラッグというのは、一時は切っても切れない関係にあったらしくて、創作活動とツアーの苦行を乗り切るにはドラッグなしでは不可能、などという言い訳が堂々とまかり通るような空気もあったようだ。
「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド(LSD)」などとわざとらしいタイトルが収められたサージェント・ペパーズは、中ジャケの4人の目がイッちゃってる、と騒がれたそうだし、ストーンズのキースの画像は、いつも注射針のあとだらけに見えたりした。
そんな人たちだが、今でもピンピンしている(いた)ところを見ると、どこまでがショウビズとしての演出だったのか疑っても見たくなるというものだ。
一方で、ホントにやりすぎて死んでしまった天才ロッカーも片手の指では足りないし、無事生還したクラプトンのような幸運な人もいるわけで、よくもわるくもすべては70年代前半までのいわゆるひとつのムーブメントだったということだろう。
ということで77年になったというのに『Cocaine』といわれても、もはや危険な香りはしないし、ギターソロも必要以上にダビングされていて焦点がボケボケだ。収録アルバムのタイトルに<スローハンド>という禁じ手をもってきているのも、いかにも苦しい。
誰にもケチのつけようがない重鎮JJケイルのカヴァーという一点で、キツ〜い評論家たちの猛攻をかわしているといったところか。

■収録アルバム:< Slowhand ( スローハンド )>