グレープ、かぐや姫(風)、井上陽水、吉田拓郎。これはかつてのフォークの時代に、左からファンであることをカミングアウトするのが恥ずかしかった順番である。ファンの方には怒られるかも知れないが、私が中学校のころには確かにそうだった。
拓郎のファンは堂々と宣言してしかも誰も何とも思わなかったが、グレープが好き、というとその場に何ともいえぬ恥ずかしい空気が漂ったものだ。
で、私はどうだったかというと、グレ、かぐ(風)、陽と進んだが、拓に行く前に洋楽の方へ進んでしまった。
もしも今の自分にどこか大人になりきれない側面があるとしたら、あのとき拓に進まなかったからなんじゃないか、と直観的に思う。
同じことをかつてのスーパーギタリストにあてはめてみると、やはり恥ずかしい順に、リッチー、ペイジ、クラプトン、ベック、となるだろうか。
ここでも私はベックに行かずにクラプトンにとどまっている。
何事においても、ステレオタイプな成長の過程を経てすっきりと卒業する、というのは難しい時代なのである。

■収録アルバム< Just One Night ( ジャスト・ワン・ナイト ) >