バラードの隠れた名曲というのは日本のレコード会社にとっては虎の子だが、この『To Make Somebody Happy』あたりは、まさにワーナーが悔しがってキリキリ舞いしそうなポリドール時代の隠れ名曲だ。
かつてのファンたちが新譜を買わなくなった90年代後半にボックスで初出し、その後編集盤で再収録したりしているが、認知は高くない。
コンパクトにまとまった『ワンダフル・トゥナイト』などより、おもむろに始まってギターソロで盛り上がるこういった『レット・イット・グロウ』タイプの曲の方が、ロックファンとしては盛り上がるのではないだろうか。
リハーサル風の録音でギターソロも冗長なところがあるが、いかにもクラプトンの自作といった感じの素朴なメロディラインも、70年代の郷愁でいっぱいだ。
ところでポリドール時代の音源は今はユニバーサルからでているわけだが、前回のワーナーとの関連で一応流れを見ておくと、ロバート・スティグウッドがつくった例の赤ベコマークのRSOが解散してポリドール扱いになり(販売はポリグラムに)、その後レーベル再編でポリグラムがユニバーサルに吸収、といったところだろうか。
リアルタイムで新譜がでるワーナーと違って再発時にひっそりと販売元が変わっているだけなので、“赤ベコ”に特別の愛着があった、という人以外には何の興味もない変遷だろう。

■収録アルバム< Blues ( ブルース )>