えっ、マジすか。たった1枚のスタジオ盤なのに・・・。ゼップの2枚組ライヴ『永遠の詩』でさえ、ボンゾのドラムで盤の半分使うのはどうかなあ、と思っているのに、ジンジャーのドラム・ソロで15分以上すかあ!
とお嘆きの貴兄に、正しい情報をお知らせしよう。<クリームの素晴らしき世界>のD面『いやな奴』のトラウマで、10分以上延々ドラム・ソロが続くような印象を受けてしまう『Do What You Like』だが、実はこの曲でのジンジャーのドラム・ソロはわずか3分半ぐらいなのである。意外です。
曲の構成は、ウィンウッドの歌の後、キーボード・ソロ、ギター・ソロ、ベース・ソロ、と3分ぐらいづつあって、そのあとにドラム・ソロ、そして再びテーマに戻って終了、というパターン。
つまりジンジャーのドラム・ソロもことさら出しゃばっているわけでなく、みんなが平等に順番でアドリブをやっているだけというのが本当のところ。
しかしやっぱりドラム・ソロって聴いてて長く感じるなあ(ドラム・ファンの方ごめんなさい)。
そのうえクラプトンのギターも凄いわけではなく、ちょっとジャズっぽいアプローチも、試しにやってみました感をぬぐえない。
テーマに戻る前の“Do What You Like〜”の低音コーラスはまるでジョン・コルトレーンの代表作のひとつ『至上の愛』のコーラスそっくりだし、テーマリフは<グッバイ・クリーム>の『ホワット・ア・ブリングダウン』からの持ち越しだろう。より洗練されてはいるけれど。
とはいっても、ブラインド・フェイスならではの澄み切ったアクア・サウンドとでも呼びたい独特の世界は似たものを探そうとしてもすぐ見つかるものではなく、やはり手元に置いておきたいワン・アンド・オンリーであることは間違いない。

■収録アルバム< Blind Faith ( スーパー・ジャイアンツ )>