クリームのナンバーの中で、おそらく最もキャッチーな曲。ドラマティックなコーラスから始まり、覚えやすい歌メロ、ファルセットのサビ、そして3コーラス目から突き刺さるワウワウによるオブリガードと、ラストのワイルドなギターソロまで小気味よく展開する気持ちよさは、一度聴いたら忘れられないだろう。
といった感じの『ホワイト・ルーム』だが、コーラスとサビを削除すると、あれれ、『英雄ユリシーズ』とおんなじだあっ。特にライヴだと、スタジオ・エフェクトが効かない分、よけいおんなじに聞こえてしまう。しかしながら、前者はお馴染みジャック・ブルースとピート・ブラウンの共作で、後者はエリックとマーティン・シャープ(『エニイワン・フォー・テニス』と同じコンビ)の手によるものだから、本来因果関係はない。
ところで『ホワイト・ルーム』が親しみやすい理由として、冒頭の歌詞が関係していることに着目したい。"In the white room〜"とはじまる部分が、ものすごく聴き取りやすくて覚えやすい英語なのだ。耳にした瞬間、おそらく100人100通りの「駅のそばの、黒いカーテンの掛かった白い部屋」がそれぞれの頭の中にイメージされたことだろう。
中学生の時、全く英語センスがなさそうなクラスメートでも、過去分詞を習ったとたんに「Have You Never Been Mellow〜」とオリビアの『そよ風の誘惑』が急に歌えるようになったことに感嘆したものだが、こちらはさらに難易度が低い。
というわけで、いまだ冒頭の歌詞が口ずさめないユリシーズに大差をつけて、この勝負はジャックとピートの勝ち!

■収録アルバム:< Wheels Of Fire ( クリームの素晴らしき世界 ) >