<ジャーニーマン>で初登場したときにはアルバム後半にありがちな地味な長尺のスローナンバーだったのが、この<24nights>の名演によって、90年代のライヴにおいてギターソロのクライマックスを演出する定番となってしまった。
これにより本来その役割を担うはずだった『Same Old Blues』がすっかり影を潜めてしまったのは残念だ。
確かに『Old Love』のほうが重厚で貫禄もあるのは間違いないのだが、どうもスキがないというか、AOR過ぎて今ひとつピンとこないのである。まあ、ジャージーなロバート・クレイとの共作だからその影響も大きいのだろうが。
とはいえ、このライヴでのギターは素晴らしい。クリームやドミノスでは上手いけれど平板、といった感じだったのに対し、ここではトーンや強弱、スピードがまさに意のままにコントロールされている。ギターと完全に一体化して表現している、という感じ。スローブルースだというのにリスナーに息つくヒマも与えない。それが20年の歳月の成果ということか。
そんなこんなで、これ1曲マジメに聴き通すとかなりしんどい。なのでセットリストで目にすると期待が膨らむ反面、ちょっとがっかりする、というジレンマに襲われることになるわけだ。
まあ適切な比喩ではないがレインボーでいうところの『Mistreated』みたいなもんだね。
それにしてもワーナーのクラプトンに対する冷たさといったらどうだろう。現行ホームページのディスコグラフィーから<ジャーニーマン>も<24nights>もカットされている(06/06/01現在)。いくら在庫がなくて近々に再発の予定がないからといってなにも削除することはないのでは。
一方で<ベスト・オブ>などというカラダがカユくなる邦題をつけたベスト盤の廉価版再発の告知はしっかりしているのだから、よくわからない。
これだったら、「ディスコグラフィー」ではなく「在庫カタログ」とでも表示した方がよいのではなかろうか。

■収録アルバム< 24 Nights ( 24ナイツ )>