『なぜ選ぶたびに後悔するのか』という意思決定研究の本の書評をチラッと斜め読みして、大いに思い当たることがあった。
現代社会においては多くのオプションの中から選べるという「選択の自由」があるが、それゆえに何かを選んだ後で、実は選ばなかった方が素晴らしかったのではないか、と後悔したり不満を持ったりする傾向が高くなるらしい。
ぼくの場合、まさにそのような感じ方をすることが多いわけだが、いつもながら自分でもイヤになるのが、洋楽CD購入時に国内盤にするか輸入盤にするか、という問題だ。
たかだか1枚のCDを買うのに、ボーナストラック、ジャケ仕様、訳詞と日本語ライナー、価格、などなど検討しなければならない問題が山ほどある。
ボーナストラックについては、ご存じのとおり「日本盤のみ」とうたわれていることが多い。ミュージシャンが苦労して考案したトータルな曲の流れが、つまらないアウトテイクで台無しになってしまうようで、ぼくはボーナストラック否定派だ。
ジャケについては、前にも書いたとおり、背中に日本語で邦題が書いてある国内盤は、どうにもカッコ悪く感じてしまう。
訳詞。これまでに訳詞をちゃんと読んだことあったっけ。解説はレココレその他を立ち読みすればいいし、いざとなったら辞書と首っ引きで原文を読むか。
そして価格。やっぱ500円近く安いとかなり心が揺さぶられる。たいして面白くもない飲み会で数千円も使ってしまうのに、なんで500円ケチるかねえ。
というくだらない自問自答を経て、最終的に輸入盤をお買いあげ、というのが基本パターン。そして後で後悔する。アウトテイクも聴いてみたいし訳詞も解説も読んでみたい、やっぱ国内盤にしとけばよかったかな、と。
そんなこんなで<レプタイル>も輸入盤で買った。ジャケ見開きになんでイグアナの写真が載ってるのかわかんなかったが、レプタイル=爬虫類(ワルい相棒)ということを後で知って、ああなるほど。
国内盤を買ってライナーを読んでいればリアルタイムでそのことが分かっただろう。80年代の繊細なフュージョンのようなオープニングの『レプタイル』の第一印象も違うものだったかもしれない。

■収録アルバム< Reptile ( レプタイル )>