今回はネタバレ要素あり。未聴の方はご注意ください!
デラニー&ボニーが文句なく格好良く感じるのは、無意識的に名画『ボニー&クライド』を想起してしまっているから、という勝手な論理はさておき、いつの間にかオフィシャルな日本語表記がディレイニーに変わってしまっていたデラニー・ブラムレットのリミックス盤がオマケでついた<エリック・クラプトン・ソロ>のデラックス・エディションを国内盤で入手した。
といってもリミックスというのは正しくなく、ライナーの日本語訳を読むと、もともとクラプトンはディレイニーにミックスを依頼したのだが、手違いがあって滞っているうちにポリドールがしびれを切らしてクラプトン自身にミックスをやらせたら、これがなかなかによろしくなくて、急遽トム・ダウドにマスターを送ってミックスしてもらったのが、1970年にオフィシャル発売されたバージョン、ということらしい。
ということでライナーが正しいとすれば、本来的にはディレイニーのミックスがオリジナルで、既発売のトム・ダウド・バージョンがリミックス、ということになるのだろう。
その1枚目のラストに入っている『シー・ライズ』だが、これは『レット・イット・レイン』の原曲と言うことで、バックトラックは『レイン』とおんなじ。歌詞とメロディ・ラインが違うものとなっている。
つまり、原理はクリームの『ストレンジ・ブルー』と一緒で、録音してみたらばバックトラックの出来映えに比べて歌がよろしくないので差し替えました、というパターン。
そのくだりもライナーに書いてあるのだが、問題はなんで「よろしくなかったか」ということ。
これは聴いてみるとわかる。
なんと、メロディがビートルズのゲットバックそのまま。とくにサビの部分は♪シー・ライズ〜を♪ゲット・バック〜と置き換えて口ずさんでみると、どっちがどっちだかわかんなくなるほど。
折しもゲット・バックのシングルが米英ともに1位の大ヒットを記録した直後なだけに、アルバムに入れるんなら変えた方がいいんじゃない、ということになったのではなかろうか。
というのはぼくの全くの憶測で、冒頭のネタバレ、というのも実はこのことを指している。せっかくのデラックス・エディションを、ヘンな先入観をもって聴いて欲しくなかったので。

■収録アルバム< Eric Clapton - Deluxe Edition ( エリック・クラプトン・ソロ )>