ザ・バンドと仲間たち、といった風情のアルバム<ノー・リーズン・トゥー・クライ>のオープニング。
<ノー・リーズン・トゥー・クライ>は、訳すと「泣くのはおやめ」といった感じでしょうか?
ゆったりとしたキーボードではじまり、エリックのパッキリとしたヴォーカル、エリック抜きのコーラスによるサビなど、1曲目から意表をつく展開だ。
そしてリード・ギターはロン・ウッドのスライド・プレイ。スライドならではの音程の変化をいくらか誇張気味に展開する硬質なギターは、ロン・ウッドならでは。
ギタリストのソロ・アルバムのオープニングで他人がリード・ギターを弾く、というのも今考えるとスゴイ。
70年代は、それに違和感を感じないほど、クラプトンがギターを「弾かない」ことに慣れてしまっていた、ということだろう。
このアルバムでは他にも、「どこにエリックは参加してるの?」みたいな大胆なパーソネルの曲も多く、ろくに聴かずに「エリックのギターも素晴らしい」などとレビューすると、あとで大恥をかきそうだ。
ところでこの『ビューティフル・シング』は、ザ・バンドのリチャード・マニュエルとリック・ダンコの手による逸品。
今ではふたりとも亡くなってしまったが、クラプトンは<オーガスト>の中の『ホリー・マザー』をリチャード・マニュエルに、アルバム<バック・ホーム>をリチャード・マニュエルとリック・ダンコにトリビュートしている。
・・・と思って家に帰って聴き直してみたら、エリックもファルセットでしっかりサビを歌ってました♪(同日深夜追記)

■収録アルバム:< No Reason To Cry ( ノー・リーズン・トゥ・クライ )>