子供の頃、イギリスという国は「ゆりかごから墓場まで」というスローガンがあって、手厚い福祉で国民が守られている、というようなことを学校で教わった。
ナマケモノのぼくは、それを聞いてすぐに、働かなくても遊んで暮らせるのか、と勝手に解釈して、イギリスは良いなあ、と思ったもんだ。
ところがやっぱり、なんでも国がやってくれるということは、国家予算が膨大になるということで、その予算って結局は市場の主役であるお金持ちから取り上げるわけだから、必然的に経済が停滞してしまい、その結果、ケインズ式の福祉国家はエヌジーということになり、鋼鉄の処女、じゃなくて鉄の女サッチャー首相の構造改革がはじまるわけだ。
所得税から消費税への転換、国営企業の民営化、などなどスリムな政府を目指しての構造改革って、どっかで聞いたことあるよね。
そんな時代に呼応してか、「みんな、ぼくらも変わらなきゃ!」とスーツ姿のレコジャケで歌いかけたのがこの83年の「メイク・ア・チェンジ」。ワーナー移籍第1弾のアルバム<マネー・アンド・シガレッツ>のオープニングだ。
期待の高まるイントロのフレーズから、メリハリの効いたボーカル、そしてライ・クーダーのスライドプレイとのカラミなど、かっちりとアダルトな仕上がりは、ワーナー版クラプトンの新しいイメージをアピールする役割をしっかりと果たした佳作となっている。
そういえば日本でも、このままではいよいよヤバいよね、となった90年代半ばにイチロー選手の「変わらなきゃ」というCMのフレーズが流行語になったっけ。

■収録アルバム< Money And Cigarettes ( マネー・アンド・シガレッツ ) >