目障りなものをナイフで荒々しくそぎ落とすかのような、歪んだギターによる自信に満ちたカッティングではじまる『シーズ・ウエイティング』は、70年代のクラプトンの地味なイメージを払拭するにふさわしい派手で爽快なナンバーだ。
フィル・コリンズによるドラムシンセの導入なども含めて、ビルボード対応済アップグレード完了!といったイメージではあるが、レインボーが『シンス・ユー・ビーン・ゴーン』でポップス化したときの失望に比べれば、肯定派も多いのではなかろうか。
この『シーズ・ウエイティング』をオープニングに収録したアルバム<ビハインド・ザ・サン>が発売された85年の春というのは個人的にはかなり暗く沈んだ時代で、人との交流を絶ってソニーのFEN専用ラジオを片手に一日ヒット・チャートを聴いていたりしたものだ。シャデーやマドンナ、そしてUSA for Africaとかね。
ところでこのFEN専用ラジオというのはすごかった。「FENしか聴かない」といったキャッチコピーで売り出したイヤホン型ポケットラジオなのだが、オールターゲットの何でも付いてます、という製品が主流だったニホンの家電メーカーの中にあって、これほど潔く機能を絞った製品というのは、あとにも先にもこれを超えるものはもう出ないかもしれない、と思わせるほどだ。
しかも、単機能というだけでなく、「FENしか聴かない」というのは明らかにひとつのライフスタイルを主張するものであり、これを持っていることでその人のブランド価値が大きく上昇するという効果もオマケでついていた、というよりは、こっちの方が目的とさえ思える画期的な製品であった。
『シーズ・ウエイティング』のイントロを聴くと、そんな昔の空気が蘇ってきて、いまはなき直輸入盤のラップを開封したときの塩ビ盤とインクの入り交じった独特のあの匂いを、くんくんと嗅いでみたくなったりもするのだ。
■収録アルバム< Behind The Sun ( ビハインド・ザ・サン ) >
フィル・コリンズによるドラムシンセの導入なども含めて、ビルボード対応済アップグレード完了!といったイメージではあるが、レインボーが『シンス・ユー・ビーン・ゴーン』でポップス化したときの失望に比べれば、肯定派も多いのではなかろうか。
この『シーズ・ウエイティング』をオープニングに収録したアルバム<ビハインド・ザ・サン>が発売された85年の春というのは個人的にはかなり暗く沈んだ時代で、人との交流を絶ってソニーのFEN専用ラジオを片手に一日ヒット・チャートを聴いていたりしたものだ。シャデーやマドンナ、そしてUSA for Africaとかね。
ところでこのFEN専用ラジオというのはすごかった。「FENしか聴かない」といったキャッチコピーで売り出したイヤホン型ポケットラジオなのだが、オールターゲットの何でも付いてます、という製品が主流だったニホンの家電メーカーの中にあって、これほど潔く機能を絞った製品というのは、あとにも先にもこれを超えるものはもう出ないかもしれない、と思わせるほどだ。
しかも、単機能というだけでなく、「FENしか聴かない」というのは明らかにひとつのライフスタイルを主張するものであり、これを持っていることでその人のブランド価値が大きく上昇するという効果もオマケでついていた、というよりは、こっちの方が目的とさえ思える画期的な製品であった。
『シーズ・ウエイティング』のイントロを聴くと、そんな昔の空気が蘇ってきて、いまはなき直輸入盤のラップを開封したときの塩ビ盤とインクの入り交じった独特のあの匂いを、くんくんと嗅いでみたくなったりもするのだ。
■収録アルバム< Behind The Sun ( ビハインド・ザ・サン ) >
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