そのうち買おうと思っているうちに、ついつい20年以上が過ぎてしまった。
今10代や20代の若い人から見たら、そんな呑気なことがあり得るのか、ということになり、よっぽどもうろくした爺さんかと思われるのがオチかもしれない。
ところが、40代にもなってくると、そういったことが自分自身に結構起こり得ることであることが分かってくる。
一例をあげるなら、80年代初頭に友人に聴かせてもらったジョン・メイオールの編集ライヴ<プライマル・ソロズ>がそうだ。
フェード・インではじまる中途半端な曲も多く、モノラルで音質もイマイチだったため、すぐに買う気にもなれず、でもまあ、そのうち買おう、と思っているうちに廃盤になり、思い出したり忘れたりしているうちに今日に至った、というわけである。
そして先日、名盤<ブルースブレーカーズ>に例のデラックス・エディションが発売され、そのボーナスCDに<プライマル・ソロズ>のエリック担当の部分(アナログのA面)がまるごと収録されたので、ついに購入することになった。
そのラストを飾る『フーチー・クーチー・マン』がすばらしい。
ここでのエリックは「ひょっとしたらジミー・ペイジよりハードでファンキー?」と思わせるフレーズを展開し、「ひょっとしたらエリック・クラプトンの最盛期って60年代?」という疑いを確信に変えさせるほどの気迫に満ちている。
エリックのソロのあと、臨時雇用のジャック・ブルースがベース・ソロで追い上げるも、厳しいメイオール兄貴によってあえなく半コーラスで撤収。そのストレスはわずか半年を待たず、クリームという形で思う存分発散されることになる。
この「絶倫男」なる『フーチー・クーチー・マン』は、のちに<フロム・ザ・クレイドル>にエリック名義で正式に収録され、以降はライヴ盤やDVDでお馴染みのレパートリーとなっていく。

■収録アルバム< Bluesbreakers With Eric Clapton ( ブルースブレーカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン ・デラックス・エディション)>