70年代のクラプトンのライヴといったらコレ、というくらい数多くのテイクが存在するステージの定番曲。とはいっても「待ってました!」というよりかは「またかよ!」といった感も漂う多少供給過剰ぎみのナンバーでもある。
そんなファーザー・オン・パレードの締めくくりとでもいうべきテイクがこの79年の<ジャスト・ワン・ナイト>収録版だ。
いつものようにアンコール・ナンバーなので前ノリの手拍子に合わせるようにリズムセクションからスタートし、おもむろにエリックのフレーズによって曲がスタート。
<E.Cウォズ・ヒアー>その他のバージョンのようにブルースブレーカーズの<ハイダウェイ>みたいな始まり方のほうがしっくりくるというファンも多いだろうが、こうしたジャムっぽい始まり方もまあ悪くはない。
ここでのエリックはアンチ・クラプトン派がよく口にする饒舌すぎ、音数が多すぎ、といった悪口を払拭するかのように、単純なワンフレーズで圧巻な盛り上がりを演出。とくにラストのワンコーラスは何度聴いても鳥肌が立つ。
アンコールということで中盤には律儀にステイントンとアルバートのソロ・タイムも設けてあるが、エリックの鬼気迫るフレーズの前には、良くも悪くもエリックのソロの引き立て役といった印象を免れない。
<E.Cウォズ・ヒアー>のテイクが美しく抜け目なく完成されたフレーズ展開という意味でベストと捉えられがちだが、この<ジャスト・ワン・ナイト>のほうは、エモーショナルな臨場感という観点から、やはりベストといっても間違いではないだろう。

■収録アルバム<ジャスト・ワン・ナイト>