待望のスーパーグループのアルバム・オープニング。
にしては、キャッチーな部分もなく、ダラダラと長いナンバー。中間部のエリックのソロも、緊迫感がなく、クリーム時代から持ち越しのフレーズなんかも顔を出したりして、まるでレコーディングを意識していない昼休みのセッションのようだ。
ヴォーカルのスティーブ・ウィンウッドが前年に出した<トラフィック>が、デイヴ・メイスンとの才能の拮抗が感じられる名盤だったことを思えば、こちらはいわばポールのソロ。
エリックがデイヴ・メイスンやジョン・レノンに劣っているというわけではないが、やっぱりこの時期のエリックはギターで頑張らないと存在感がない、というのは偽らざる事実であろう。
73年のエリックの復活祭<レインボウ・コンサート>でゲスト出演したウィンウッドが、歯切れの悪い『泣きたい気持ち』ではなく<トラフィック>からのタイトなナンバー『パーリー・クイーン』を演奏したのもうなずけるというものだ。<トラフィック>の方のオリジナル『パーリー・クイーン』ではリード・ギターもウィンウッドが弾いていて、なかなかにキャッチーなソロを披露している。
となると、この『泣きたい気持ち』で右トラックにフィーチャーされているサイド・ギターはウィンウッドだろうか。そう思えばそう聞こえるし、エリックのオーバーダブだといわれればそんな気もするが、どちらにしても大局に影響はない。
そんなこんなで印象の薄い曲ではあるが、フェイダーで音を回してジミヘンっぽい演出を取り入れるなど、時代の1曲としての価値はアリ、といったところだろう。

■収録アルバム<スーパー・ジャイアンツ>