ブラインドフェイスの<スーパー・ジャイアンツ>(このオリジナル邦題はいまでも現役のようだが、いつか消える日がくるだろうか・・・)の2曲目に入っている泥臭いバラード『マイ・ウェイ・ホーム』にはもうひとつのテイクがある。
オリジナル発表のものは、エリックとウィンウッドのアコースティックによるツインギターで、光るオブリガードはあるものの、いわゆるギターソロはナシ。ヴォーカルはウィンウッドで、ジンジャーのドラムも控えめ、アットホームな雰囲気に仕上がっている。
そしてもうひとつは、のちにデラックス・エディション(現在入手困難)に収録されたアウトテイクのエレクトリック・バージョン。こちらはいかにもな60年代終盤風オルガンがいい雰囲気を醸し出しているイントロからギターテーマへと引き継ぐ。
エリックは饒舌なカントリー風のバッキングから攻撃的なソロを展開するギターを通しで録音した後、ややマイルドなトーンでリードギターをオーバーダブしたようだ。つまりソロ部分は同時並行して2本の違うギターソロが鳴っている、というアレンジ。こころなしかこのアウトテイクの方が、アルバムに正式収録された他の曲よりギターが活き活きと歌っているような気がするのは、リハの気楽さから来るものだろうか。
ところでブラインドフェイスのオリジナルアルバムのクレジットはどれもそっけないもので、ウィンウッドにはヴォーカルとキーボードの記述しかないが、1曲ずつ丁寧にクレジットが記されたボックスセット<クロスロード>で確認すると、アコースティック版の『マイ・ウェイ・ホーム』では上に書いた通りウィンウッドもギターを弾いているとの記述がある。しかしながらこちらのエレクトリック・バージョンの方は、おそらく2本ともエリックだろう。
どちらにしろ、他にアコースティックのナンバーがないことや尺の問題もあってエレクトリックの方はボツになったわけだが、もしエレクトリックの方が採用されていたら、ソロになってからの70年代のステージで、セクシャルなイヴォンヌのヴォーカルをフィーチャーしたアーシーなナンバーとして大きくピックアップされることはなかったのかもしれない。

■収録アルバム<スーパー・ジャイアンツ>