このアルバムが好きかキライかで、エリックに対する理解度が量られる、ともいわれている「安息の地を求めて」の2曲目。
「揺れるチャリオット」というかわいらしい邦題がついているが、実際は前作の『アイ・ショット・ザ・シェリフ』より遥かにレゲエっぽいアレンジと雰囲気を持つ曲だ。
タッ、タッタカ、とレゲエお約束のタムから始まり、バックビートにのっかってテーマとなっているコーラスから歌に入る展開。
コーラス→歌メロ→コーラス→歌メロ、と曲が進行していくのだが、1番はエリック、続いて2番はイヴォンヌがソロでヴォーカルを取り、まったりとしたスライドギターの間奏のあと、3番は歌メロとコーラスがかぶさって盛り上がっていく。
早熟なロックファンの方々ならとっくに気づいていらっしゃるかもしれないが、イヴォンヌのヴォーカルが始まるとパッと場の空気が華やぎ、曲にシズルが生まれる。
もちろんマーシーもしっかり参加しているが、ここではあくまでイヴォンヌを立てた感じでバックコーラスに徹しているのも好ましい。
では、当のご本人はどうかというと、この曲に限ってはイヴォンヌに負けないくらいヴォーカルが素晴らしい、というかセクシャルなんである。張りがあってツヤっぽいこんな声をだしたのはエリック史上はじめてのことだろう。男同士なのにハラハラドキドキ。
というわけで、マリワナの煙にかすむジャマイカの熱波の中で、誰もが思わずエロくなっちゃった予想外の1曲でした。

■収録アルバム<安息の地を求めて>