僕がギターをやめてしまった原因のひとつに、絶望的なまでのリズム感のなさにうんざりしてしまったから、というのがある。
ドラムがしっかりビートを刻んでいてくれないと、走ったりもたれたり、まあさんざんなものだ。
少し分析してみると、右脳は確かに正確にリズムを刻んでいるような感覚があるのだが、それを左脳の思考が邪魔をするようだ。
左脳はその時、次はこのコードだ、次のフレーズは何フレットへ飛ぶ必要がある、などと常時考えていて、それがリズムを乱すのである。
それであればそれは単なる練習の絶対量の不足で、左脳が考えなくてよくなるほど練習して自然にコードやフレーズが弾ければいいのかとなるが、自分の場合そうではなかった。
超単純なストローク弾きでもダメで、結局左脳がなにがしかを思考し続けてリズムを乱してしまうのである。
強力なドラッグでもキメて無心で弾きまくれば上手くいきそうだが、現実的にそんなことは無理だ。
まあ早い話、向いてなかったということなのだろう。
そういったわけで、24ナイツ完全版のロックバージョン3曲目の「Breaking Point」には圧倒される。エンディングのリフレインの後、エリックがリズム隊無しのギター単独でフレーズを弾きまくるのだが、その完璧な右手左手の動き、そして圧倒的なリズム感に畏敬の念を禁じ得ない。
やはりギターの神様は違う、などと月並み以下の言葉しか出てこないのである。

■収録アルバム:< 24 Nights:Rock ( 24ナイツ:ロック )>